今日は膝の痛みを訴える患者さんとの会話の中で、気がついたことを書きとめておきます。

ウォーキングのイラスト

 

1ヶ月ほど前に右膝の痛みで治療を受けた女性患者さんが、あまり良くならなくて再び来院されました。詳しく話をきいたところ、「1日1000歩を目標にウォーキングしています」とのこと。

「1000歩というと20分くらいでしょうか?」とたずねると、「朝、ラジオ体操が終わってから1時間ぐらいです」。うーん、ちょっと計算が合わない気もしますが、1時間は長すぎますね。

歩かないと体がダメになってしまう…という気持ちはわかりますが、痛いときはとりあえず運動はお休みして、その分の体力を回復にまわしましょう。

そもそも、目的意識のない運動は、ただの『労働』でしかありません。ウォーキングもスイミングも筋トレも、今日はどこそこを鍛える!という意識がないと、ただ体を動かして疲れるだけに終わってしまいます。

もちろん「運動した!」という爽快感や達成感は得られるかもしれませんが、運動によって関節が強くなるわけでも、筋力が増すわけでもありません。痛みにはむしろ逆効果です。

この女性患者さんは治療を終えた帰り際にこのようなアドバイスをして、少し様子を見ていただくことになりました。もちろん痛みが消えたらウォーキングを再開してもかまいません。ただし、1時間はあきらかに歩き過ぎです!

※ 東京都健康長寿医療センター研究所、老化制御研究チームの『中之条研究』によれば、歩きながら会話ができる程度の早歩きで20分間歩くことが、高齢者の健康の維持と病気の予防に効果的だとされています。