1年ほど前から日刊スポーツの紙面に健康情報のコラムが掲載されており、いつも興味深く読ませてもらっています。先週から始まった連載が『アルツハイマー病を防げ』。

アルツハイマー病の予防対策 新聞記事

団塊と呼ばれる世代が高齢期を迎える2025年には、患者数が約700万人!にも上るであろうと言われる認知症。そのうち65歳以上で発生する認知症の半数以上がアルツハイマー病ということで、近年、世界中の医療機関でこの分野の研究が進み、10年以内には根本的な治療薬が実用化されるのでは!?と言われています。

そもそもアルツハイマー病というのは、脳内に『アミロイドβ』という異常なタンパク質が蓄積し、そのタンパク質が発する毒性によって、脳の神経細胞が死滅することで発症します。このアミロイドβという物質は、血糖値を下げるインスリンという酵素によって分解されるので、身体が正常なら脳内にたまることはありません。でも、糖尿病の患者さんや糖尿病予備軍(メタボ)のように、インスリンの働きが鈍って高血糖の状態が長く続くケースでは、インスリンの働きは血糖値を下げることで精一杯! 脳内のアミロイドβの分解にまで手が回らなくなるわけです。

事実、統計学的にも糖尿病患者はそうでない人に比べ、認知症発症のリスクが50%高まると言われています(英キングス・カレッジ・ロンドン精神医学心理学神経科学研究所の「世界アルツハイマー病報告書2014年版」より)。糖尿病の重要な危険因子は肥満や運動不足ですが、まずはこの肥満や運動不足を解消することが、アルツハイマー病の予防にもつながるのです。